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2011年1月

2011年1月 5日 (水)

卒論は、卒業後に向けた学びの一歩ですよね

あけましておめでとうございます。本当に久々の投稿です。

 今日は、4年ゼミの最後の授業でした。1年のときから担当している学生も多くいるため、ついこのあいだ入学してきた彼女たちが、もうこれで授業では会えないのだと思うと、感慨も一入でした。
一方で、卒論に猛ダッシュをかけている彼女たちは、本当に「学び」の中にいる学生らしい学生だなと思えます。いいところに就職するためではなく、「学びたいから学ぶ」という私にとっては本来的な学生の姿がそこにあるようです。
 私のゼミでは、卒論のテーマは自由なので、それぞれの学生は、自分で自分の課題をみつけ、それを自分自身で掘り下げていきます。ぼちぼち完成した学生、形が見えてきた学生、彼女たちのテーマは実に興味深く、私も添削しつつ、読んでいて本当に楽しいです。そして、文章を通して、知らなかった学生の一面をあれこれ発見するのも楽しいものです。文体や構成力、構想力、テーマのセンスなど、この学生にこういう力があったのか!などの新鮮な驚きもこの時期の楽しみです。
 ほぼ4年間(短い学生で2年間)担当してきて、はじめて知るような側面が一杯ですね。

 音楽とホスピタリティについて書いた学生は、このようなセンスがあったのか!と驚くような視点でした。おそらくこれまで音楽が自分にとって何なのかをぼんやりと考えつづけてきて、それをこの時期に一気に掘り下げて書き上げたのでしょう、主張にブレのない、いい卒論となっています。
 また、海外旅行離れの進む日本の現状を書いた学生は、ご自身が大手旅行会社に就職が決まっているのもあり、今後の方向性も絡ませてどんどん思考を広げながら書きました。書きながら、どんどん成長するタイプの学生です。他にも、サッカーと地域おこしを絡めて考察する論考、贈り物の包装にこめられたおもてなしを論じている興味深い論考、日本の芸妓におもてなしの源流をみようとする論考など、数々の楽しみな論文があります。その中で、ジブリ映画の魅力をディズニーと比較しながら論考している学生は、途中までの論文をもってきて、「私の論文は今ひとつ薄い気がする」と評して言いました。
 「その通り、薄いよね。自分がなぜこのジブリ映画を題材にしたのか、それに惹かれたのはいったいなぜなのか、という熱い自分の問いが自分自身のことばでまだ証されていないからだよね。文献読んでジブリの特徴をまとめても、その自分の核心の問いが証されなければ書いていても、あなた自身、つまらないでしょ」と話したら、「どうして私はジブリに惹かれてきたのだろう?」と自問自答をはじめ、「もののけ姫からだ!あの首が飛ぶところに衝撃を受けた!そして・・」と続けて、急に生き生きとした表情になり、すぐさま図書館に向かいました。
 彼女は、卒論に行き詰まっていたようですが、自分に響いた何かを、それが何なのかを知りたいという学びを起動する基本である「なぜ?何?」に立ち戻ったようです。

 私は、その学びの基本に立ちやすいからこそ、テーマを自由にしています。したがって、卒論は自分との対話であってほしいですし、その中で自分なりの発見があってこそ、学びの喜びを実感するものだと思っています。
 単位の修得や資格の取得、就職活動やバイトと忙しい学生たちですが、せっかく大学という貴重な学びの時間と空間を与えてもらったのだから、「学びの喜び」をせめて最後に存分に感じて卒業してほしいと思う次第です。それができれば、就職したのちも、これからの長い人生において、きっとさまざまな対象に何かを感じ、その何かに感じる自分と対話しながら、学びを自分自身で起動させることができるのでは、と思います。そういう意味で、卒論は卒業後に向けた学びの一歩ですよね。

 こうした思いが学生たちに伝わるといいいなあ、と改めて思った年初の授業でした。

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